No.104

2008年8月1日発行

■若者が希望をもって働ける環境を!

■働く人を低賃金で酷使する先進国(?)日本
とくに深刻な若者の貧困化

自分を守る主な労働法を知ろう
職場の悩みは、ここへ相談しよう


〜町田市議会議員 吉村こずえの市議会レポート〜
◇第2回定例会 議会報告
●学校支援ボランティアの充実を求めて

若者が希望をもって働ける環境を!

若者の働く環境に深刻な問題が起きています。フリーターや派遣など低賃金で不安定な雇用に、将来の生活設計もできない若者が増加しています。一方、正社員であっても過酷な長時間労働を強いられ、昇給も期待できない等の理由で、3年以内に離職する若者が増えています。

そんな若者の「働くことに関する問題」に、同じ若者の立場で取り組んでいるNPO法人「POSSE」の今野晴貴さん(大学院生)にお話を聞きました。

▼「POSSE」を立ち上げた理由は?
 
― 06年の結成当時、フリーター(非正規雇用)の増加は、若者側に責任があるかのような風潮がありました。原因は労働法の規制緩和等による構造的な問題なのに改善の方向が見えないことに危機感を感じたからです。

▼若者の働く現状を調査
「若者の仕事調査アンケート」を行ったそうですが?
―都内各地で約3000人の若者から聞き取り調査を行いました。その結果、
▼フリーターの大半が正社員並に働き、正社員はそれ以上の長時間労働をしている
▼3〜4割が残業代を支給されていない
▼正社員4割、フリーター7割が有給休暇を取得していないなど、厳しい現状が明らかになりました。また「労働法は知っている」が「あきらめている」という回答が目立ち、労働法が単なる断片的な知識に止まり、活用できていないことがわかりました。

▼若者が集い、学ぶ場を
現在は、どんな活動を?
― 社会の中で孤立しがちな若者が集まり、学べる場をつくり、広げていきたいと、下北沢に事務所を設けました。そしてフリースペースの提供や労働相談活動を開始。06年9月には第1回目のシンポジウムを開催しました。現在は
▼カフェを借り切ったイベント(若手弁護士をゲストに、法律や制度の使い方などをアドバイス)
▼街角でのLOW!DO!キャンペーン
▼働き方を記録する「しごとダイアリー」出版
▼フリーペーパー発行
▼ホームページやブログでの広報活動 などを行っています。


POSSEのカフェに集まる若者たち

▼若者自身の手で格差社会に切り込む
政策提言も行っているとのことですが、具体的には?
―低賃金で保障のない非正社員か、理不尽な職場で自由を犠牲にする正社員かの二者択一ではなく「第三の道」―安定した生活ができ、3年で辞めたとしても次の職場にチャレンジできる社会―をめざしたいと考えています。

POSSEの政策提言
▼正社員と非正社員の『均等待遇』を法令で規定する
▼基準賃金は職務内容を合理的に分類評価し定める
▼職務資格制度を設け企業外でも訓練を受け技能を習得できる機会を保障する

▼雇用保険制度を拡充し加入要件の緩和、給付水準や期間を拡大する
▼最低賃金を、時給1250円に引き上げる
▼生活保護を多様化し自立を支援する
▼様々な利害関係が生じる企業毎の労働組合を廃止し、産業別・職業別組合とし、職種ごとに労働条件を確立する。


働く人を低賃金で酷使する先進国(?)日本 とくに 深刻な若者の貧困化

OECD(世界経済開発機構)07年の調査によると、日本の貧困率※ は13・5%。これは加盟30ヶ国中ワースト2です。とくに深刻なのは、ワーキングプアが若年層に広がっていることです。

生活者ネットでは、労働状況の悪化の原因をさぐり、市民が今できることを検討しました。
(※国民一人一人の所得を並べたとき、真ん中に位置する人の、半分以下の所得の人の比率)

▼年収300万円以下の世帯が30パーセント
04年の所得階級別世帯割合(図1)をみると、平均所得580万円以下の世帯が約60・5%を占め、年収300万円以下の世帯が約31%、年収200万円以下の世帯は約19%です。日本の約3割の世帯が年収300万円以下で暮らしているのです。

図1


〈2004年 所得階級別の世帯割合〉

資料:総務省「国民生活基礎調査」(2006年)
出所:朝日新聞2006年6月29日

企業利益は増加したが、給料は10パーセント減
日本経済は02年から07年まで、戦後最長の経済成長をしてきました。しかし、その利益増加分が雇用者には分配されていません。

都民の総所得は02年から07年に約54兆円から約62兆円に増えました。増加分の内訳は企業所得約4兆円と、株式の配当や不動産収入などの財産所得約5兆円です。

財産所得は約10倍に増えています。しかし雇用者報酬は10%減で1兆円減りました。成長の果実が雇用者に分配されなかったことが、貧困の大きな原因です。

▼次々に行われた企業に有利な労働の規制緩和
貧困の原因のもう一つは、ここ20年間に変貌した労働環境があげられます。
その転換点は、86年の「労働者派遣法」の成立です。そのねらいは、グローバル化にさらされた企業の人件費削減にありました。当初は、労働基準法第6条「中間搾取の排除」として「他人の就業に介入して利益を得てはならない」と規定されていたため、通訳などの専門職13業務に限られていました。しかし96年に26業務に拡大され、99年には原則自由化、04年、ついには製造業への派遣も解禁となり、日雇い労働者を増やす結果となりました。
派遣業者による労働賃金の『中間搾取』が、法のもとに認められ、労働力が企業側の都合に合わせて売買できることになってしまったのです。
また労働基準法も改訂され、変形労働時間制や裁量労働制などの規制緩和によって残業手当を払わないで長時間労働をさせる手段を与えてしまいました。

非正規雇用は低賃金 正社員は長時間労働
このような規制緩和の結果、若年層(15才〜34才)における非正規雇用者の割合は、約三分の一を占め、そのうちの約8割が、年収200万円以下といわれています。

正規と非正規の賃金格差は男性100対64、女性100対70。これに残業代や賞与の有無を合わせるとその差はさらに大きくなります。(06年JIL―日本労働政策研究・研修機構の調査より)

このように若年層の非正規雇用化に伴う貧困化は深刻です。
一方、正社員は採用が抑えられ人数が減った上、変形労働制や裁量労働制が導入されたことによって、過重労働を余儀なくされることになりました。東京都では、うつ病等の精神疾患による労災申請が、06年167件で01年の約3倍となっています


▼規制緩和を見直し労働者も声をあげよう
今、企業優先の政策ではなく誰もが安心して働ける政策転換が急務です。労働者の立場に立った規制緩和の見直しと、都道府県ごとに決める最低賃金を上げることなどが必要です。

労働基準法第2条には「使用者(事業者)と労働者は対等の立場で労働条件を決定することができる」とあります。労働者自身が、労働条件について声をあげるために、仲間をつくって企業側と交渉するユニオン(労働組合)が再評価されています。

生活者ネットでは、町田市へ次の提案をします。
▼小中学校の職業教育で、自分を守るための労働法の活用法を学習する
▼成人式で労働法のパンフレットを配る
▼「広報まちだ」に労働者のための情報を掲載する
▼市・都・労働基準監督署などの関連団体の連絡協議会を充実させる。

労働問題に関するご意見を、ぜひお寄せください。

自分を守る主な労働法を知ろう

・労働基準法 (労働条件の確保)
・労働安全衛生法 (過重労働防止などの労働者の健康管理)
・最低賃金法 (賃金の最低額を保障する) 他


労働法ミニ知識
・パートやアルバイトも、年休を取る権利がある(年休権)
・毎週1日か、4週で4日以上週休を取る権利がある(週休権)
・残業が月100時間を超えると、企業は労働者の申し出に
より、医師面接を受けさせる義務がある(産業医)
・月80時間を超える残業は、過労死ライン
・都道府県ごとの最低賃金を知ろう(東京では739円)

本の紹介

●『おしえて、ぼくらが持ってる働く権利〜ちゃんと働きたい若者たちのツヨーイ味方』清水直子(合同出版)

●『15才のワークルール』道幸哲也(旬報社)

●『はたらくって?〜働くことに関する45のQ&A』小川英郎(労働開発研究会)

●『しごとダイアリー』NPO法人POSSE(合同出版)

職場の悩みは、ここへ相談しよう

◆ 労働基準監督署
町田地方合同庁舎2階(1階はハローワーク) 042-724-6881 森野2-28-14

◆ 東京都の労働相談
電話相談:042-645-6110労働相談情報センター八王子事務所
来所相談:毎週火曜日 1時半〜4時半(森野分庁舎)

◆ なんでも労働相談ダイヤル(連合ユニオン東京) 03-5444-0538

※労働基準監督署とは

労働基準行政の第一線機関として、法律に基づき、労働条件確保・改善の指導、安全衛生の指導、労災保険の給付などの業務を行っています。

町田の労働基準監督官は
4人(署長、課長 含む)で、市内9000社を監督しています。
もっと労働基準監督官を増やして、
企業の取り締まりを強化することが必要です。


市議会議員 吉村こずえの市議会レポート

第2回定例会〜一般質問より〜

学校支援ボランティアの充実を求めて

町田市議会第2回定例会の本会議で「学校支援ボランティアの充実を求めて」と題して、市長・教育委員長に一般質問を行い、学校教育部長から答弁がありました。

吉村
いま学校では様々な分野で地域のボランティアの皆さんが活躍している。07年から学校とボランティアを円滑につなぐコーディネーターが配置になったが、まだ十分に活動できていない。コーディネーターの役割を明確に示し、研修や連絡会の設置が必要ではないか?

学校教育部長 ※以下、部長
現在、小学校15校、中学校4校にコーディネーターが配置されている。今後は全校への配置をめざす。学校によりボランティアへのニーズが様々に違うので、7月にアンケートをとり、各校のニーズを把握し、コーディネートしてもらう予定。情報交換のための連絡会を持つ。

吉村
学校図書指導員を他のボランティアと同一予算にして扱うのはいかがなものか?

部長
ボランティア予算を統一したのは、フレーム予算にして校長裁量により各学校のニーズに対応しやすくしたものである。学校図書指導員の役割は大変重要と認識している。図書指導員の予算は1名分だけでなく、必要なら2名分取るなど柔軟な対応ができるようにしている。

吉村
図書指導員の全校配置がくずされないよう校長会を指導する必要があるのではないか?

部長
図書指導員を積極的に活用するよう指導する。

吉村
広報を充実させて人材募集を進め、人材リストを作成してボランティア活用を効果的に進めるために、学校ボランティアセンターなどのしくみ作りが必要ではないか?

部長
新たなしくみづくりを視野に入れて7月に詳細なアンケートを取り課題を整理する予定である。募集・登録・派遣のしくみ を作りたいと考えている。

吉村

保護者のボランティアには原則として謝礼が出ないが、専門性を生かして講師として授業をする場合には謝礼を出すべきではないか?

部長
謝礼の支払方法については、校長裁量で柔軟に対応できるようにしている。


学校教育を充実させていくために「地域の力」が求められています。そのためにも「学校支援ボランティア」の受け入れ体制を整えることが急がれます。

その鍵を握るコーディネーターの活用と学校支援ボランティアセンターの設置が必要です。 学校図書指導員については、将来、学校司書の配置につなげていくためにも、一般のボランティアと一線を画し、全校配置を維持するよう強く求めました。