NO.83

2003年12月3日発行

一人ひとりにあった
教育の場と支援を


学習指導要領の改訂や学校5日制の実施に続き、文部科学省は、ノーマライゼーションの実現を理念に掲げ、「特別支援教育」という教育制度改革を進めています。東京都は、2007年の都内全域実施にむけ、「特別支援教育」について検討を行い、11月に最終報告の素案を発表しました。

■ 「特別支援教育」とは

 この特別支援教育では、障がいや重複障がいを持つ子どもだけでなく、今まで普通学級で指導を受けていたLD(学習障がい)、ADHD(注意欠陥多動性障がい)、高機能自閉症などの児童生徒に対し適切な教育的支援を行うとしています。また、統合教育の観点から普通学級の整備を行い、障がいのある子どももそうでない子どもも一緒に学ぶ機会を増やして、相互理解を深める狙いがあります。


問題は財政難と無関心さ
       
確かに理念は理想的です。しかし、特別支援教育に関心が高い保護者からは、問題点を指摘する声が上がり、9月の町田市議会に請願書が提出され継続審議されています。
 国の発表では、これまで全児童生徒の1・4%だった障がい児教育の対象者が、LDやADHDも対象となることで8%になります。予算増加は必至であるにもかかわらず、東京都では、予算措置や専門的なスタッフなどの体制が整備されていない状況です。
また、普通学級でのサポート体制が不明確なため、障がい、健常を問わず子どもたちにとって大きな負担やストレスになりかねません。障がい当事者だけでなく、全ての家庭に影響する問題であるにもかかわらず、情報の共有がされていません。
統合教育の名の下に、単なる合理化だけがすすみ、教育の場の選択の幅が狭まり、本人にとって本当に必要な支援が受けられなくなることが懸念されます。
特別支援教育が、理念に掲げる多様性のある教育の場を構築していこうとするならば、財政的裏づけは必須条件です。また、障がいを持つ者への教育が保障される権利を制度化していくことが必要です。
教育は国や社会において最も重要な責務だと信じています。財政状況が厳しいというだけでは、国が教育費を適正に捻出しない理由になりません。

地域と連携して

 公的機関だけでなく、地域や当事者とも強く連携した社会的資源を有効に使い、ティーチングアシスタントやNPOなどを活用して人材を集めるという側面的支援も検討の余地があります。また、地域社会のつながりが希薄になっている中、こうした制度変更を一つの機会として捉え、学校への関心を高めるしくみを、私たち一人ひとりが考えていくことも重要です。(安藤信哉)


※ティーチングアシスタント…教員と一緒に授業を行い、学習活動を支援する者のこと